2011/02/05

魔法の国モロッコ(7) スナスナの街メルズーガ part2

魔法の国モロッコシリーズ
魔法の国モロッコ(1) はじまりとおわりの街カサブランカ
魔法の国モロッコ(2) なにかが起こる街、マラケシュ
魔法の国モロッコ(3) なにかが起こる街マラケシュ part2
魔法の国モロッコ(4) なにかが起こる街、マラケシュ part3
魔法の国モロッコ(5) なにかが起こる街、マラケシュ part4
魔法の国モロッコ(6) スナスナの街メルズーガ
魔法の国モロッコ(7) スナスナの街メルズーガ part2
魔法の国モロッコ(8) 旅行者な街フェズとローカルな街メクネス
魔法の国モロッコ(9) 最終章 始まりと終わりの街 カサブランカ
番外編 モロッコの砂漠旅行情報!マラケシュ、フェズからメルズーカへ!のりこさんの日本人宿もあり!



ぼくは、メルズーガの街に着き、暗闇の中、宿で睡眠をとった。
そして夜が明ける。


真っ先に砂漠を見に行ってみる。
ぼくは軽い気持ちでふらふらっと見に行ってしまった。
砂漠を見た瞬間時間が止まる。
息をのむとはこういうことだろう。
紅い朝日に照らされ、紅く妖しく輝く砂漠。
朝日のその角度の低さからできる陰がさらに砂漠の紅さを際立てる。


美しい。


もはやただそう表現するしかできなかった。


だんだんと明るくなってくると、その砂漠を前に朝食をとった。


朝食後は、噂の日本人、のりこさんに会うべく、自転車で隣町まで。


みんな近い近いというから自転車で爆走してみたのだが、街が全く見えない。
というか出発したメルズーガさえ見えない。


・・・怖い


普通に怖い
砂漠で1人。
持ち物はノートだけ。
なんで水もってこなかったんだ。
良い歳しながらびびってしまった。


すると、小さな子供が見えて来たので、彼等に道を聞くと、着いて来てくれた。
小さな子供に助けられてものすごく安心するという、なんとも無様な23歳である。


そうして、Hassi Labiedという街に着き、のりこさんを訪ねた。
http://www.wilderness-lodge.net/
すると、のりこさんはなんだか暗いのである。
聞いてみると、昨日のりこさんが組んだらくだツアーの到着時刻が遅れ、ツアー参加者が次の街へ向かうバスに乗れなかったため、苦情殺到。夜から朝までもめにもめ、結局宿泊費、ツアー費をタダにして、宿泊客はみんな別のホステルに移ったのだという。


のりこさんはかなりきつい言い方をされたようで、悲しそうだった。
正直モロッコとか、先進国以外で何かをするってなったら、時間が遅れるのは日常茶飯事だし、そんなことで怒ってたらこっちの身がもたない。
先進国以外の国に来るならばそれぐらいの認識をもってこないときっとうまくいかない。
ずっとイライラしてなくちゃいけない。
だから、ぼくは先進国以外に来るときは常に、「まー仕方ない」というスタンスをとるか、基本的にタフなスケジュールは組まないようにしてる。
これを「時間に遅れるなんて怠惰だ、改めるべきだ」ととるか、「これも彼等の文化だ。仕方ない」ととるかはそれぞれの判断である。


さて、のりこさんと別れたあとは、バスで会ったイズマイルの家を訪ねた。
彼ととった写真を母親に見せると、にっこりと笑って、家の中に招かれ、お茶とお菓子をいただいた。


イズマイルの話をやたらされたんだけど、現地語だったので、全く理解できず、ひたすら作り笑顔で乗り切った。


村から戻ると、約20人とともにらくだツアーに参加した。350デュラハム(3500円)くらいだったと思う。夕方4時に出発、30分から1時間ほど暗闇の中ガイドがぼくの乗るらくだを引っ張る。全然歩けるんじゃん。と心の中でツッコみながら、他のツアー客と話していると、いつの間にかテントに到着する。



夕食をとり、現地人が奏でる音楽と共に踊る。
その後満天の星を見て、就寝、6時頃に起床し、朝日を見ながら宿に帰る、というもの。











ただ、注意してほしいのは、夜死ぬ程寒いから、絶対コートとか必要。毛布はあるんだけど、それでもテントなのでまじで寒すぎて寝れませんでした。


らくだツアーでは、いつものように友達をつくり、綺麗な星を見たんだけど、まー流れ作業というか。
「とりあえずエッフェル塔みましたー」「とりあえず東京タワー見ましたー」とそんなに変わりはなく、「とりあえずらくだツアーこなしましたー」という感じだった。
どちらかと言うと、久しぶりにシンガポール人とかカナダ人と英語でしゃべれて、そっちの方が楽しかった。
だって、らくだ乗ったことあるし、田舎出身だから星なんかなんぼでも見れるんだもん


それでもなんであんまり感動しなかったのだろう、他の理由があるはずだ、と考えてみると、簡単な答えに行き着く。
太陽だ。
そうだった、ぼくは太陽が好きなんだった。


だかららくだツアーから朝帰って来て、立て続けにその昼にらくだに乗った。
太陽に照らされ、オアシスを目指した。


お値段400デュラハム(4000円)。
これはほんとに気持ちがよかった。
ただ、これはほんとに価値があった。
もしらくだツアーにするなら、2泊3日で遠くまでいくか、朝に出発して夕方に帰って来る
のを勧める。

見渡す限り砂漠。
「これだよ、これ」
そう心の中で叫びながら太陽を一身に浴び、オアシスを目指した。
この、オアシスを目指すってのがかっこいい。
そしてin the middle of nowhereな状況もかっこいい。
物語の主人公にでもなったような気分だった。





何もなかったはずのところに急にオアシスが出て来る様は、魔法のようだった。






オアシスで日光浴





この砂漠の街っていうのは、本当にonepieceに出て来る、アルバーナとかウイスキーピークみたいで、とにかく好きだった。


あと、オアシスで食べたタジンは最高だった。




でもそんなことよりも、もっと好きだったのが、ぼくの宿だった。
宿には、かわいくて優しい女の子が1人、あとおばさんとその夫、もう1人若い男の子が働いていた。
そんな宿に泊まっていたのは、ぼくと台湾人の女の子の2人だけ。
だから、ほんと家族みたいで、あったかかった。
マラケシュで出会った、ぼくを金としか見てない様な連中とは違う。
そしてマラケシュの様な喧噪もない。
宿に帰れば優しい人たちがぼくを迎えてくれて、宿を出るときは見送ってくれる。
暇になれば彼等とゆっくりと話し、夜になればお休み、とそれぞれの布団に入る。
そこでは、ただゆっくりと時間が流れる。
疑似家族のような関係はすごく心地がよくて、幸せだった。


だからメルズーガを発つときは少し寂しく、みんなも少し寂しそうだった。
いつかあの街に帰ってみたい。
その頃になっても変わらないあのままの姿であってほしい。


そんな感慨に浸りながら、次の街フェズへ向かう夜行バスに乗り込んだ。


そのバスの中でかわいいオーストラリア人姉妹と親しくなり、しばらく話していた。さっきまでの感慨はどこへやらという感じで、ぼくの気分はウキウキだった。
男の悲しき性である。


こうして砂漠の街メルズーカでの幸せな日々を終え、次の街フェズへと向かう。