2011/01/21

bye bye my kot

明日、ベルギーを発ち、セネガルへ向かう。
家の契約は1月一杯だから、明日家を出る。
思い出がいっぱいつまった家を出るのはなんだか寂しくて、がらんとした今の部屋なんかは入居した頃と変わらず、時の流れの速さを実感させる。


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今、部屋を退去し、リビングルームにいる。
あと10分もすればこの家を出る。
思い出がいっぱいのこの家。


今までありがとう。


ちょっとセネガルでがんばってきます。

2011/01/19

ぽっかりと空いた穴

今日、robertがドイツに帰った。
毎日一緒に過ごしたrob。
心にぽっかり穴があいた。


なんかもう耐えられない。
しかも、ぼくもとうとう明後日セネガルに発つ。
つまり、今の家で過ごすのは実質明日まで。
だから今部屋を片付け、パッキングをしてる。
でも全然進まない。
心にぽっかりと穴があいて、放心状態だ。


悲しすぎる。
あーどうしたらいいんだろう。
どうしたらこの喪失感は消えてくれるんだろうか。


robertとの別れはあっけなかった。
なんか、全然実感がわかなくて、こんなに俺たちの絆は強いんだ、またそのうち会うだろう、って感じだった。
でも、mattiasと一緒に家まで歩いて帰ってると段々実感がわいてきて、いつの間にか自分の部屋で泣いてた。


いつになっても別れはつらい。


昨日しょんぼりしてたぼくにrobertが
「別れがつらいってことは成功なんだぜ。大事な友達ができたってことだろ?だからその成功を喜ぼうぜ」
みたいなことを言ってくれた。
本当に良い奴だった。


畜生。
悲しすぎる。
あー何も手につかない。


でも前に進まないといけない。
Rob, you made my erasmus. Thanks.

2011/01/18

魔法の国モロッコ(6) スナスナの街メルズーガ

魔法の国モロッコシリーズ



2011年1月1日
僕は朝6時に起き、受付の隣で寝袋を敷いて寝ていたホステルの従業員を叩き起こし、今までありがとう、今日からメルズーガへ行く、と告げた。
彼は見た感じ、働きぶりからしてもどうしようもない奴だ。
推定35歳、身長は低く、小太り、でっかいださい眼鏡をかけて、風呂にはいってないのだろうか、常に髪は湿ってる。
労働時間中にfacebookして遊んでるわ、メキシコにいるとかいう彼女とskypeするわ、本当に適当だ。
ただ、メキシコにいる彼女に関しては、あんまり言葉が通じないらしく、30秒に1回「コカコーラゼロ」と発言してた。
こいつ、おもしろいやん、と思う反面、こいつ騙されてんじゃねーのかと他人ながら心配になったりもした。
そんなダメダメな彼だけど、そのダメダメな所が愛くるしかったり、暖かみがあって、憎めない奴だ。
ちなみに僕が2011年最初に話した人間が、彼だ。
んーーー。と少し後悔の念がなかったではないが、なんか心があったかくなったので、これはこれでいいか、と納得した。


実はそんな彼との別れは少し寂しかった。
彼も少し寂しそうな素振りを見せたが、ただ眠そうにしていただけかもしれない。
そうして僕は人気のない大通りを歩き、タクシーを捕まえ、マラケシュ駅についた。
マラケシュからメルズーガへのバスはsupratour(スプラトゥール)といって、駅から2分程歩いたところにあるから、駅員に聞けば良い。
そしてメルズーガ行きのバスチケットを200デュラハム(2000円)で買った。
8時半マラケシュ発、21時メルズーガ着の、この一本しかない。
ちなみにメルズーガは砂漠の街で、スナスナの街というこのブログのタイトルはお察しの通り、one pieceのクロコダイル、スナスナの実から取った。



バスは12時間かかるのだが、12時間も・・・、という人は、マラケシュ発のツアーがあるので、それを使えばいい。1日目は朝7時発で1、2時間毎にどこかの街に泊まって1時間程観光、っていうのを繰り返し、どこかの街のホテルで一泊。次の日の夕方にメルズーガで一泊して観光して帰る、っていう3泊4日のプランだ。
ツアー会社の客引きがそこら中で、「砂漠ー」「らくだー」とか日本語で叫んでいるので、彼等に話しかければ、近くにあるツアー会社に連れて行ってくれる。
最初は1000デュラハムだとか言い出すが、他のツアー会社は650だったからそっちにするとか言えばどのツアー会社も650にまでは下がる。そこからはあなたの力量次第だが、僕はツアーに魅力を感じなかったので、ツアーは使わず自分1人でいくことにした。


なんでかって?
そっちの方が旅してるって感じがするから。
やっぱり一人旅なんだから全部一人でやりたい。
どこか気に入った街があればそこでバスを降りて適当に宿を探して一泊でもすればいい。
自分の思うように、自分の心に正直にやりたい。
だからこの旅では、自分が本当にしたいことって何?自分が今一番喜ぶことって何?っていうのを何度も自分に問いかけた。
何度も問いかけることで、だんだんと自分を束縛している常識や人の目が取り払われて行って、本当にしたいことっていうのが見えて来る。


旅行に行けば特にすることがないから観光地に行ってしまいがちだけど、やっぱりそうじゃなくて、現地の人と一緒に生活をして、現地の人が何を考え、どう生きているのかを知りたい。


こう思うようになった。
もう観光地にいくのはやめよう、それはヨーロッパでさんざん旅行、観光してきて、出て来た答えでもあった。
観光客が誰もいない街なんかに行って、現地の人と生活しよう。
そんな大それたことを言いながら僕は、観光地、メルズーガを目指す。
なんて矛盾した男なんだろうか。


でもメルズーガに行く理由はあって、
砂漠=太陽ガンガン、ぼく=太陽大好き、→僕は砂漠が大好き。
という見事な三段論法である。
かつ、砂漠の街ともなると、色んな街があるみたいで、その中でもマイナーな街に行きたいと思っていたのだ。


とかごちゃごちゃ言ってるけど、たぶんそんなのは僕の脳みそが作り出した理由の後づけで、結局、onepieceアラバスタ編のウイスキーピークとかアラバスタの街がかっこよかったからっていうのが一番大きいのだと思う。
とくにウイスキーピースの宴なんか好きだ。


だから、メルズーガを目指してマラケシュを発ったときには、one pieceに影響されて気分は旅人だった。
そうこうしてる内にバスは出発する。
毎年一緒に過ごす小学校からの友達や家族、親戚のみんなは今頃どうしてるんだろうか、そろそろこんなことしてるのかな、なんて想像しながらバスは出発する。
道は長い。ちょっと寝てみようかな、というか寝れるかな。
などと思いを巡らしていたが、それは杞憂でバスから見える景色には睡眠やDVDといったどんな暇つぶしの方法も敵わなかった。
ぼくはバスの窓に釘付けになり、空いた口が塞がらなかった。

太陽に照らされ、元気いっぱいに生きるサボテン。


ひたすら続く荒野。




急に現れた街。


こんなとこにでも人は生きている。
ほんとうに何もない所。
こういう所で、羊飼いや、農耕を営んでいる人をバスから見た。
そこでも人々はそれぞれの物語を生きていた。
ぼくも想像できないくらいはるか昔から延々と続いて来た歴史を紡いでいる。
毎日ひたすら同じことを繰り返し、新たな家庭を持ち、新たな子孫が誕生し、彼等がその物語を引き継いで行く。
僕はひどく混乱する。
一体、僕が普段考えている夢とか、幸せとか、キャリアとかって何なんだろうか。
もちろん幸せなんて比べることができないけど、仮に比べることができるとすれば、どっちの生活の方が幸せなんだろうか。
優劣なんてあるんだろうか。
やはりなんでも手に入る日本の方が優れているのだろうか。
自分の祖先が代々育んで来た土地や職を引き継ぎ、愛情を持って取り組む。
帰れば愛する家族がいる。
家族が病気になればはるか遠くの医者まで駆けつけ、子供が結婚すれば盛大に祝うのだろう。
それでいいじゃないか。


と同時に、やはり労働、家族愛ってのは普遍なのかな、とも思った。
そんなことを考えていると、とある街でバスは停車した。






おそらく日本で言うサービスエリアみたいなところで、ご飯が食べれたり、お菓子が買えたりする。
ここで軽くご飯を食べ、少しゆっくりした。
すると、アトラス山脈を抜けたのか、急に砂漠になる。







最初は景色に感動していたけど、何時間も同じ景色となるとさすがに飽きて来るな、と思ったら調度後ろの席に座っていたメルズーガ出身の男の子が話し掛けて来た。
しかもフランス語じゃなくて英語で。
僕と彼、イズマイルは1時間程話した。モロッコのことや日本のこと色んなことを話した。すると彼の住む村で、メルズーガの近くにある村に日本人女性が住んでいて、ホステルを経営していることを知る。名はのりこさん。モロッコ人の彼氏がいるらしい。
そのホステルにいくか、メルズーカに家族経営のホステルがあるからそこに行けとのこと。
バスを降りると高いホテルの客引きがいて、高いホテルに連れて行かれるからそいつらには絶対について行かないように。そう忠告された。
イズマイルは今はメルズーカの手前の街のおばさんの家に住んでいて、大学に通っているということで、彼は先にバスを降りた。


もうすっかり辺りは暗い。というよりも暗すぎてもはや何も見えない。
メルズーガの手前の街で停車したときに、外にいる黒人と目が合った。
すると彼はぼくに降りてこいという合図を送る。
仕方なく彼のもとに行くと、「のりこのホステルに行くんだろ?ここで降りろ。おれが車で連れて行ってやる。おれはのりこのホステルのドライバーだ。」という。


・・・怪しい

完全に怪しい。


ということでもちろん断った。
そんな怪しい出来事がまた起こる中、僕はとうとうメルズーガについた。
バスを降りた瞬間、一瞬スターにでもなったのかと思うぐらい色んな人がホテルの勧誘をしてくる。とりあえず1人の話を聞くことにした。
するととりあえずここに座れと近くにあった丸テーブルの椅子に座ると5人くらいに取り囲まれた。
強引に僕を説得しようとするので、ここは怒らずに、ゆっくりと冷静に、「もうちょっと落ち着いて?焦るのは分かる。でも僕にも僕の時間が必要なんだ。」と語りかけると、「悪かった」みたいなことを言って落ち着いた。
で、いつものように「60デュラハム」を主張すると、すぐに「あるよ」という。
「今から行こう」という。
いいんだろうか。
イズマイルの忠告を無視してこいつらを信じていいんだろうか?


いや、のりこさんのホステルに行くという手がある。
電話してみよう。
いや、待て、とりあえず行くだけいってみて、良かったらステイ、ダメならのりこさんのホステル、ってことにしよう、という決断に落ち着いた。


ということで、真っ暗闇の中を15分程歩くと、ホステルというか、囲いがあるおっきな家みたいな所に着いた。
んー怪しい。
しかも結構ぼろいから夜が寒そうだ。
病み上がりの僕にはつらいだろう。
これはのりこさんの所のいくのがベターだな。
彼には悪いが断ろう。


そう決断した瞬間、このホステルの従業員の女の子が出て来た。
かわいいじゃないか。
声から振る舞いまで全てかわいいじゃないか。
おい、客引きよ、このホステルは悪くない、このホステルに泊まろうじゃないか。
そんなことを口走っていた。
男とは何ともばかな生き物なんだろうか。
その子はマリカという。
マリカはお茶を出してくれた。この甘いお茶は僕の疲れた体には調度よく、幾分か僕の疲れを取ってくれた。
そしてリビングの様な所で客引きと3人で1時間程話し、布団に入った。


こうして僕の長い長い2011年1月1日は終わる。
悪くないスタートだ。
今年はどんな年になるんだろうか。








2011/01/16

魔法の国モロッコ(5) なにかが起こる街、マラケシュ part4

魔法の国モロッコシリーズ


5日目


あまりにふさぎ込んでしまったので、元気になる方法を考えた。
どうしたら僕は元気になるだろうか?
答えは簡単。
太陽を浴びること。
僕は公園に向かい、ベンチで2時間程寝た。







ぼくはばかだ。
こんなことで。
ただ太陽を浴びて寝るだけで。
それだけでこんなにも元気になってしまうのか。


ぼくは完全に元気を取り戻した。
厳しい冬を乗り越え春を迎えたかのように。
考えること全てがポジティブになった。
自分でわかる。
歩き方までもが変わった。
道行く人に笑顔を振りまき、体全体で歩いた。
まるで恋が実ったかのように。
目に映るもの全てが活き活きとしている、あの感覚。


人間の精神とはこれほどまでに可変的なのか、と感心した。


元気になったぼくは、フナ市場へ繰り出し、大好きなオレンジジュースを飲んだ。


その場でオレンジをしぼってくれる。
4デュラハム(40円)
もしモロッコに来ることがあれば、全力でこのオレンジジュースを飲むことを勧める。
僕は1日2、3回飲んだ。
さて、オレンジジュースで充電された僕は屋台で夕飯を食べた。
力をつけるために肉を食べた。






なんの肉なのかよくわからないけど(たぶん羊と牛)とにかくうまかった。
手で肉を食べるなんて最高じゃないか。


この日から全てがうまく回り出す。
人生なんてこんなもんだろう。
ほんの些細なことから全てが悪い方向に進み、まるで人生のどん底にいるかのように、まるで自分が悲劇のヒロインでもあるかのように落ち込む。
でも、ほんの些細なことからその人生のどん底から抜け出し、春が訪れる。
そう、それはほんの些細なことなんだ。
幸せ、不幸なんて本当に紙一重だし、表裏一体。
くるくる回る赤ちゃんのおもちゃみたいなもんだ。


6日目、7日目はカフェに行って、学校の課題に取り組んだ。


ところで7日目は12月31日だった。


でもモロッコという国は、マラケシュという街は、そんなことはおかまいなしにただ毎日を繰り返す。
人間が作り出した年末というすばらしい概念なんか関係なく地球が毎日回るように。
そう、僕が何をしようと、地球は毎日ただ回って、マラケシュのフナ市場は観光客でにぎわい、屋台からいい匂いが漂って来る。
ひたすらオレンジは搾られ、お茶は注がれ続け、靴は売られ続け、観光客は客引きに勧誘され続ける。


皆平等に1年が与えられて、1年が終わって、また新しく違う1年が始まる。
そう思ってた。
でもそうじゃない。
時間はただ流れてる。
僕がいくら時間に意味づけしようとこの街では何の意味もなさない。
ただ時間が流れる。
ただ毎日が繰り返される。


それは本当に無機的で、少し悲しくもあった。
僕は本当に大きな流れの中にいて、なんとかその流れに意味づけをして、精神を保ってる。
じゃないと、その大きな流れはあまりに無機的で、僕は混乱してしまうだろうから。


そうして僕は2010年を終えた。
そして2011年の朝、僕はマラケシュを後にする。


でもそんなことは関係なく、マラケシュは毎日を生きていた。
きっと今もマラケシュは毎日を繰り返して、いろんな物語を作ってるんだろう。





魔法の国モロッコ(4) なにかが起こる街、マラケシュ part3

魔法の国モロッコシリーズ


マラケシュ3日目


実は昨晩、驚く程しんどくて、かなりうなされた。
完全に昨日よりも体調は悪化している。
しかもすごく咳が出て、肺が痛い。
以前かかった肺炎の様な症状だ。
僕は病院にいくことにした。


タクシーを捕まえ、ville nouvelle(新市街)のclinique(病院。hospitalはすごく大きな病院を指すから大体風邪なんかだとcliniqueにいく。)に行ってくれと言う。
「どこの病院だ」と聞いて来るから、「わからない、適当に知ってる病院に連れていってくれ」といっても「どこか決めろ」という。
仕方なくlonely planetに載っている病院を指定する。
病院に行くだけで一苦労だ。


そして病院についたものの、英語は通じないからフランス語だし、1時間近く待たされて、診察は1分。聴診器すらあてられない。
文句をいう気力も体力もなかった僕は、諦めて違う病院に向かった。
すると今回はアタリで、看護士さんがすごく優しく、すごく気を使ってくれた。
そして僕は看護士さんに入院させてくれと頼んだ。
とてもじゃないけどそこら中から声をかけられながらホステルに帰って、ご飯を食べる気力と体力はない、と判断したからだ。
モロッコで生きるにはそれほど体力がいる。
実際、熱は39度近くあり、僕は入院することになった。
モロッコで。


ばかみたいな話だ。


でもそう、ここはなにかが起こる街、マラケシュ。


部屋に移り、ベットに横たわった瞬間僕は寝た。ひたすら寝た。
この日は朝から何も口にしなかった。


そうしてぼくのマラケシュ3日目は終わる。








マラケシュ4日目


朝起きると、かなりましだ。
熱も36度にまで下がっている。
しかも究極にお腹が空いている。
病院の朝食をペロリと平らげた。






ちなみに病院は、建物こそすこし古かったりするが、抵抗があるほどではない。
なんの障害もなかった。
ただ、隣のおじいさんがおそらく重病で、何人親戚いるんだと思うぐらい大量の人がお見舞いに来てた。
みんな僕に挨拶をしてくれて、なんかうれしかった。


さて、退院ということだが、入院費はなんと1400デュラハム(1万4千円)。
モロッコの物価を考えるとぶったまげた。
平均月収が6万円程の国でこれはないだろうと。
ま、保険が全額負担してくれるので、どうでもいいのだけど。
ぼくは7月から日本帰国までAIUの保険に入っていて、医療費は全額負担してくれる。
AIUは加入が簡単だからオススメだ。


退院した僕は200デュラハムのホステルに戻る。
日本人宿は予約でいっぱいらしい。
この日はひたすらgossip girlを観たり、ゆっくりと過ごした。
全く、モロッコにまで来て何をやっているのだろうか。
多少自己嫌悪に陥る。
というよりも結構落ち込んでた。
このままベルギーに帰ろうかとも悩んだ。
友人も、頼る人もいない環境は僕にはちとつらい。
1人で、孤独な、つらい時間を過ごした。
まさかベルギーに帰りたいなどと思うとは思ってもみなかった。
楽しむはずの場所で、苦しんでる。
なんとも悲しい話である。


こうして塞ぎ込んだまま、マラケシュ4日目を終える。









2011/01/15

魔法の国モロッコ(3) なにかが起こる街マラケシュ part2

魔法の国モロッコシリーズ

マラケシュ2日目。
寒い夜が明ける。
一番に確認したことは体調だ。
やはりしんどい。
畜生、畜生と心の中でつぶやきながらどうしようか考えた。
でも狭く、暗い部屋のなかじゃ気分も落ち込んでしまうので、とりあえず屋上に昇った。
すると、意外にも僕の心はその景色に感動させられてしまう。
アフリカ的というか南国っぽいというか、とにかくこの景色が好きだ。




とはいいつつもやはり体は重く、熱い。
今日は大事をとってホステルでゆっくりするのがいいだろう。
ならばあったかくて、wifiがあるところがいい。
とりあえずサイバーカフェ(ネットカフェのこと。海外ではみんなサイバーカフェって呼んでる)に向かい、wifiのある宿を探す。
ところでこのサイバーカフェのパソコン、質がいい。ここがモロッコであることを忘れるぐらいだ。速いし綺麗だし文句無し。
結局wifiがあるホステルはネットで調べる限り近くにはなかった。
もう現地の人間を頼るしかない。


ということで、昨日からやたら話しかけて来る客引きらしき青年にwifiのあるホステルに泊まりたいと話す。
すると彼は「こっちだ」と私を連れて行く。
私が泊まっているホステルの3軒隣のホステルに。
200デュラハム(2000円)という話だ。
仕方ない、実はもう違うホステルを探す気力もなかった。


すると案の定彼は紹介料的なものをくれという。
もう僕には口論をする体力もなければ、結構感謝していたりもしたので、5デュラハム(50円)だけ払うと、彼はご機嫌そうに消えて行った。


部屋に入ると、とりあえず寝た。
念のため、抗生物質を持って来ていたので、それを飲み、寝た。
かなりしんどい。
モロッコに来る前にベルギーで39度の熱があったのだが、おそらくそれと同じぐらいの熱だったと思う。
少し寝ると、もう寝れない、という状態になったので、ネットをいじった。
すると、日本人宿があって、140デュラハムでしかもwifiもあるという。
心も体も弱った僕には丁度よかった。
ぼくは明日のために宿の予約をしにいくことにした。


はあはあ呼吸しながら道を歩いていると、1人のモロッコ人が僕がもってるlonely planet(ガイドブック。地球の歩き方みたいなの。)を見せてほしいといってきた。
仕方ないから見せてあげると、質問攻め。
ホステルに向かっていることを知ると、彼がホステルを持ってるから見に来いという。
見るだけならいいかと思い、彼について行くと、どうやら彼の家らしきところに着き、お茶をだされた。


・・・怪しい。完全に怪しい。


なんでガイドブックを見たのかもわからなければ、なんでホステルを見せると嘘をついて家に連れて来たんだ。
全く合点がいかない。
すると全てが怪しく思えて、このお茶も大丈夫なのかと疑った。
彼は普通に飲み出したので、結局そのお茶は飲んだのだけど、これから何が始まるのだろうか、少し不安だった。
今の僕は風邪で体も重ければ、深く思考もできない。
もうなるようになるだろうと、ソファーにもたれかかっていた。


すると彼は、今から山に行かないかと切り出した。
今から車で1時間。
大自然がまっているらしい。
あー行きたい。
風邪を引いていなければ。
死ぬ程怪しいけれど。


とにかく僕は風邪を引いていて、今からホステルに行かなければならないことを彼に告げ、断り、もうここを出ると言った。
何かされるのかと思ったけど、何事もなく、僕は彼の家を発った。
なんだったんだ?
わけがわからない。
彼は何がしたかったんだ?
山?道であった日本人と?


もうわけがわかんないから、僕はとにかくホステルに向かった。
house13
http://www.house13.net/
普通の家みたいな外見で、看板もないので、近くに来たと思えば周りの人に日本のホステルはどこかと訪ねれば大体みんなわかる。
おそらく毎日誰かが訪ねてるのだろう。
日本人だと思った瞬間、「ホステルか?こっちだ」と話しかけて来る。
彼等にガイドしてもらえばいいだろう。


日本人宿は、おばさんが管理してるのだろうと思っていたら、出て来たのはかわいらしい女の人。25くらいだろうか。普通にかわいい。
おばさんオーナーがいて、3人の20代の女の子で運営しているらしい。
同年代の女の子が運営してるということで、ホステルの雰囲気はなごやかで、すごく居心地がよかった。
僕は明日の予約をし、少し彼女達と話し、宿を出て自分のホステルに戻った。


少し散歩したり、薬局で抗生物質を買ったり、ダウンロードしておいたgossp girlを観たりしたが、とくに変わったことはなく、ただ風邪が治るのを願った。


こうしてマラケシュ2日目は終わる。











魔法の国モロッコ(2) なにかが起こる街、マラケシュ

魔法の国モロッコシリーズ

僕はブログを読む。
1年か2年前にあるブログに出会った。
そのブログは僕からすれば革命的におもしろくて、そのブログを隅々まで読んでいるうちに、いろんなブログに手を出すようになった。
今では、尊敬する人のブログから友人のブログまで色々読む。


その僕が虜になったブログを書いている人は、東大を卒業したあとゴールドマンサックスに入社、ハーバードでMBAを取り、セネガルの世界銀行で働いている、という華々しい経歴を持った人である。
その人の途上国に対する思いや考えに共感するところ、学ぶところがすごくあって、間違いなく僕に影響を与えている人の1人だと言える。


実際、今月末にセネガルに行くんだけど、どうして数あるアフリカの中でもセネガルに行ってみようかと思ったのはその人の影響である。
仮に今会ってみたい人を何人か選べ、と言われれば、間違いなくこの人を選ぶと思う。
それぐらい影響を与えられたし、自分の思いをぶつけてみたい、自分の将来について相談してみたい、と強く思う。




という話は置いておいて、モロッコ旅行記の続きを書こうかと思う。


魔法の国モロッコ part2
何かが起こる街、マラケシュ


正直、マラケシュは自分に何が起こったのかわけがわからなかった。
毎日色んなことが起こり、毎日ただ、生きていた。
ただ、ただ、生きていた。


僕は、滞在時間24時間以下というカサブランカを後にし、マラケシュへ向かうべく、カサブランカの駅に向かった。
そして駅のホームで電車を待っていると、同じく電車を待っている日本人が何人かいた。
もしかしたら中国か韓国人だったかもしれないが、そんなことはどうでもいい。
そのなかでも、持ち物、服装からこれは日本人だろうという日本人夫婦がいた。


しばらく日本人と話してなかったし、たまには日本語も話したい、ということで、話しかけてみた。
ベルギーに留学してることを話すと、その方も海外に住んでいるという。
しかもセネガルに。そして仕事は世界銀行だという。


・・・え?


僕は困惑した。
そう、この人はあの、2年間僕に影響を与え続けているあの人である。
あの、あの、ブログの人である。
僕はもう何が起こってるのかわけがわからなかった。
こんなことってあるんだろうか。
僕もこの人もモロッコには住んでない。
たまたま2人とも旅行にきて、たまたま同じ街にいて、たまたま同じ街に向かおうとしていて、たまたま同じ時間に電車に乗ろうとして、たまたま、話しかけただけ。
どれほどの偶然を重ねればこんなことが起こりうるんだろうか。


そう、


ここはモロッコ、魔法の国。


僕はその人にブログを読んでいることを打ち明けた。
でも、ずっとブログを読んでます、なんか言うとファンです、って言ってるみたいで、立場的に完全に下になってしまうとかいう馬鹿げた発想から、できるだけ対等な立場にいようと、「友達に紹介されてブログちょっと読んだことありますよ。(ま、ちょっとですけどねっていうニュアンス)」なんかと発言していた。


もう完全に興奮していたのだけど、見透かされないようにできるだけ冷静に、ただの留学生が旅行先で日本人旅行者に出会った、というシチュエーションを演じた。(ばれてたかもしれない。)
そうして僕は、その人とその奥さんと3人で約3時間半、マラケシュまで話し続けた。途上国の話、キャリアの話、ゴールドマンサックス時代の話、ハーバードの話、大学の話、アメリカの話、セネガルの話、ヨーロッパの話、いろんな話をした。もうそれは楽しくて、3時間半なんか短すぎた。
最近運がよくなかったから、運が悪かったのと同じだけ神様がご褒美をくれたのかもしれない、などと考えながら話をしていた。




そうして夢のような時間は過ぎ、僕たちはマラケシュに着いた。
連絡先を交換し、セネガルでまた会うことを約束し、僕たちは別れた。




さて、これからどうしようかと思っていると、ものっすごいかわいいモロッコ人らしき女の子が、「なにしてんの?友達が来るまで暇だからお話しましょ?」みたいなことをフランス語で話しかけて来た。
これはたまらん、などと思って、拙いフランス語で返事をしていると、どうやら友達が来たらしく、その子は「ごめん、友達来ちゃった、モロッコ楽しんで」みたいなことを言って去って行った。
たまらん。モロッコたまらん。




忘れちゃいけない、ここはモロッコ、魔法の国。




ウキウキな僕は、あたりを見渡し、タクシーを拾い、街の中心、メディナまで向かう。

運転手との話も盛り上がって来た頃、メディナらしきところに着いたらしく降ろされる。
ところがあまり人気もないので、どこにいけばいいのかよくわからない。とりあえず辺りにいる人に安いホステルはどこかと問う。
事前に60デュラハム(600円)で泊まれるような安宿街があると聞いていたので、60デュラハムの宿に行きたいんだと主張する。
すると、うっとおしいな、お前、ホテルならあっちだよ、みたいな感じであしらわれた。
もちろんくじけずに色んな人に訪ねる。
すると、どうやら街の中心に来たらしく、大きい通りにたどり着いた。


僕がキャリーケースを持っていたので、いろんな青年が、ホテルはこっちだ、俺について来い、と僕に話しかける。
とりあえずついて行くのはタダだからと彼の背中を追う。
すると、120デュラハムのホステルにつれていかれた。
もちろん僕は60の宿にしか泊まらない、と主張すると、「もうこいつはダメだ、話にならない」みたいな雰囲気でどこかへ消えて行く。そんなことを続けること3人目の青年が、とうとう60デュラハムの宿に連れて行ってくれた。


すると、彼はお金をよこせという。
僕は、「君の心優しい行動には感謝してたのに、その行動にはがっかりだ、僕はそういうことはしない主義なんだ」と主張する。彼は負けじと何度も何度も声を徐々に荒げながら僕に迫ってくるので、僕も声を荒げながら応じる。結局彼は、「お前には優しさってもんがないのか」みたいなことを言って去って行った。
僕は、「はー、これだからモロッコ人は。おれをなめてもらっちゃこまるよ」と心の中で言いかけたが、少し自分の行動がこれでよかったのかと思いに駆られた。


僕は、物価の安く、しかも旅行ということで財布の紐がゆるい旅行者から現地人がお金を巻き上げる構図がどうも好きになれない。
先進国の旅行者が途上国にお金を落としていくことで途上国の発展につながるのだ、なんて言うこともできることもしれないけど、これはただの詐欺なんじゃないかと思ってしまう。全然フェアじゃないし、「金持ち旅行者をからがっぽり稼いてやったぜ、あいつらいくらでも払いやがる。へっへっへっ」なんて現地人が言ってるのを想像すると、ほんとに騙された気分になる。現地人と同じサービスを受けて、旅行者の方が現地人の価格の何倍も払うなんてやっぱりおかしいと思う。サービスは同じなんだから。


そんなことを考えながら宿の部屋に入る。モロッコの宿は、普通バックパッカーが泊まるホステルと違って、だいたい1人部屋だ。
だからちょっと得した気分になるかもしれないけど、僕からすればそれは悪でしかない。
なぜなら1人部屋は寂しい。
普通なら4人とか6人一部屋のドミトリーに泊まるから自然と友達ができる。今までどの旅行先でもそうしてきた。
でも、モロッコは違う。寂しい。


ということで、僕はメディナの中心地、フナ広場に向かった。


ほんとにたくさんの人がいて、にぎわっている。
でも、なんか物足りない。
噂に聞いていたよりも元気がないし、人も少ない。
とりあえず歩いてみる。
するとスークという迷路のような商店街に入る。本当に迷路みたいで、いったいいくつ店があるのかわからない。
でも、問題がある。全然買いたいものがない。
少し歩き疲れた僕は、何気なくおいてあった椅子に座り、その店の店主と話した。
彼はサンフランシスコに30年住んでいたらしく、英語が話せた。
だから、モロッコについて色々話した。
彼は僕に物を売ろうと言う気はさらさらなく、孫との話を楽しんでいるかのように、色んなことを話してくれた。
印象的だったのが、彼がしきりに、自分の時間を生きろ、周りの時間にあわせて生きるな、と僕に説いたことだ。
きっと彼が若く、モロッコも未だ発展してなかったころは自分の時間を生きていた人が多かったのだろう。今や旅行者目当てに労働労働労働だもんな。




小腹が空いた僕は、チキンなんかを食べた。
なんか1人でご飯を食べてたモロッコ人青年が前に座りなよというので一緒に食べた。
いくらだったか忘れたが、うまかった。意外とご飯とオリーブの相性がよくてびっくりした。


その後、夜のフナ市場に繰り出す。
あ、これだ。
僕が見たかったのはこれだ。
と心の中でつぶやいた。


夕飯に向けて屋台が設置されてる。
もううるさいのなんの。
祭だ。
これは完全に祭だ。
祭の定番、いろんな客引きがぼくを誘う。
結局、なんかおいしそうだったスープを頂く。
お値段なんと3デュラハム(30円)。



その後、宿に向かって歩いていると、本当にたくさんのおっさん達がカフェで何かを飲んでる。
どうみても観光客じゃなくて現地人だ。
現地人の生活に触れる、というテーマを持っていたぼくはすぐさまカフェに入ってティーをオーダーした。
これがモロッコのティー。
ミントみたいなのが中に入ってるのがいい。
そして甘い。
甘党の僕からすれば最高だ。
そして僕は隣に座るおじさまに話しかける。
そう、これこそローカルだぜ、と意気揚々に。
すると彼は裁判官だということがわかった。
す、すごいじゃんあんた。
ほんとに誠実な人で、なんか心が温かくなった。


彼と話終えた僕は、宿に帰り、すぐに横になった。
その瞬間僕は気づいた。
今日は自分を騙しながらやってたけど、どうもしんどい。
おそらく風邪を引いてる。
モロッコの家は夏用に作られているから冬の夜は結構寒い。
その夜僕はコートを来て寝た。
ただ、なかなか寝付けなかった。
ブログの人に会ったこと、いろんなモロッコ人と話したこと、モロッコ人と旅行者の関係、風邪をどう治すか、いろんなことが僕の頭を支配していく。


こうしてマラケシュ1日目は終わる。


魔法の国モロッコシリーズ