2011/07/15

モロッコの砂漠旅行情報!マラケシュ、フェズからメルズーカへ!のりこさんの日本人宿もあり!

魔法の国モロッコシリーズ
魔法の国モロッコ(1) はじまりとおわりの街カサブランカ
魔法の国モロッコ(2) なにかが起こる街、マラケシュ
魔法の国モロッコ(3) なにかが起こる街マラケシュ part2
魔法の国モロッコ(4) なにかが起こる街、マラケシュ part3
魔法の国モロッコ(5) なにかが起こる街、マラケシュ part4
魔法の国モロッコ(6) スナスナの街メルズーガ
魔法の国モロッコ(7) スナスナの街メルズーガ part2
魔法の国モロッコ(8) 旅行者な街フェズとローカルな街メクネス
魔法の国モロッコ(9) 最終章 始まりと終わりの街 カサブランカ
番外編 モロッコの砂漠旅行情報!マラケシュ、フェズからメルズーカへ!のりこさんの日本人宿もあり!



モロッコの砂漠の情報が知りたい、のりこさんの宿が知りたい、っていう人が割といるみたいです。そんな勇敢なる旅人、ハッピーな家族、ウキウキな旅行者のために、少し情報を。


「モロッコで砂漠に行きたい!」って人はメルズーカに行って下さい。
ワルザザードも砂漠だよって人がいるかもしれませんが、一般的に人が想像する砂漠じゃなくて、荒野ってイメージです。
メルズーカへの行き方と、滞在方法、砂漠の楽しみ方ですが、いくつかパターンがあります。


パターン1:全て自力コース  冒険好き節約バックパカーにオススメ!




マラケシュかフェズからバスでメルズーカまで行って、現地で宿を見つけて、その宿でらくだツアーを申し込む
コスト:約8000円(バス4000円、らくだツアー3500円、宿600円)
マラケシュからメルズーカまでのバスは、朝8時半メルズーカ発、夜9時メルズーカ着の一日一本です。マラケシュ駅の近くにバスターミナルがあるので、駅で人に「スプラトールバス?」って聞けばいい。通じないなら、フランス語で「ウ、エ、スプラトール?(Ou est supuratur?)」って聞けば分かってくれます。心配なら前日にチケットを買っておけばいいと思います。チケットは片道200デュラハム(2000円)になります。

バスですが、比較的快適です。なにしろアトラス山脈を越えていくので景色を楽しむことができます。そして途中でパーキングの様な所に30分〜1時間程停まって食事をとる時間が2回あります。
「12時間もバスに乗れない」という人は毎日下の時刻票通りバスは走っているので途中の駅で降りて一泊して次の日にまたバスに乗るっていう方法もあるかと思います。

注意してほしいのですが、このバスは夜に着きます。そして夜9時のメルズーカは真っ暗です。宿が心配になります。しかし心配することなかれ。バスが到着すると、大量の客引きが待ち構えています。そして宿の勧誘をしてきます。とにかく安宿に泊まりたいという人は60デュラハムぐらいで泊まれます。きちんとした宿もたくさんあります。ただ、心配な人は事前に宿を予約しておいて下さい。バスの到着時間通りに迎えに来てくれます。ただし、のりこさんの宿に泊まりたい人はこの方法を取らずにきちんとマラケシュから電話かメールで予約をしてバス停まで迎えにきてもらってください。のりこさんの宿はバス停から真っ暗な砂漠を車で移動しなければいけません。


フェズから行く場合もマラケシュから行く場合とほとんど同じですが、フェズ発のバスは夜行バスのみで、たしか夜9時フェズ発、翌朝7時半メルズーカ着だったと思います。この場合片道165デュラハム(1650円)です。しかし朝に着くので宿の心配がなくて安心です。
下はメルズーカからフェズに行くバスの時刻表で、これも夜行バスのみ。夜7時メルズーカ発朝5時半フェズ着になります。





2何人かで乗り合タクシーで行く


値段はあまりわからないのですが、タクシーをハイヤーしてメルズーカまで行く方法もあります。4、5人乗って一人3000円か4000円ぐらいだった記憶がありますが、交渉しだいでしょう。そこまで損をするっていうイメージではありません。




滞在方法
1日本人女性の、のりこさんが経営する宿に泊まる
メルズーカから車で少し走ったところに、日本人女性であるのりこさんが経営する宿があります。メルズーカに来る日本人のかなりの人間がこの宿に泊まるようです。このウェブサイトを見ればだいたい分かります。
http://www.wilderness-lodge.net/index.html




まだ書きかけです。時間ができ次第更新します。すみません。
お時間あれば下のモロッコ旅行記をどうぞ。




魔法の国モロッコシリーズ
魔法の国モロッコ(1) はじまりとおわりの街カサブランカ
魔法の国モロッコ(2) なにかが起こる街、マラケシュ
魔法の国モロッコ(3) なにかが起こる街マラケシュ part2
魔法の国モロッコ(4) なにかが起こる街、マラケシュ part3
魔法の国モロッコ(5) なにかが起こる街、マラケシュ part4
魔法の国モロッコ(6) スナスナの街メルズーガ
魔法の国モロッコ(7) スナスナの街メルズーガ part2
魔法の国モロッコ(8) 旅行者な街フェズとローカルな街メクネス
魔法の国モロッコ(9) 最終章 始まりと終わりの街 カサブランカ
番外編 モロッコの砂漠旅行情報!マラケシュ、フェズからメルズーカへ!のりこさんの日本人宿もあり!

2011/02/16

おれたち3人は今日から家族だ

2月10日、日本に帰国しました。
7月16日に日本を発ったので、約7ヶ月の海外生活でした。


バングラデシュでのグラミン銀行インターンから始まり、ベルギーでの半年間の交換留学、その間の旅行と、結局滞在した国は、バングラデシュ、ベルギー、スペイン、オランダ、フランス、イギリス、ドイツ、モロッコ、セネガルの9カ国。よく動き回った7ヶ月でした。


実は今回の留学は、あんまり具体的な目的ってのを用意しないでいきました。
留学後こうなっていたいとか、留学中にこんなことしてみたいっていうのを決めていけば確実に留学の成果を出せたかもしれません。


でも今回は、自分に何も課さずに、自分の心に正直に、自分が「こうしたいな」って思ったことを素直に実行しよう。「今」を生きよう。そうすれば何か見えて来るし、何かがやってくるんじゃないだろうか。運命に任せるというか、そんなスタンスでこの留学に望みました。


だから留学前の心配事といえば小学校に入る前の幼稚園児みたいなもんで、友達100人できるかな、とかそんな心配事だったわけです。


そうして特に何も考えずに留学生活初日が始まるんです。で、まず家の手配から始まるんですが、神様ってなんて素敵なんでしょうか、本当に素敵な友達を僕に会わせてくれるんです。
身長2m3cmのドイツ人ロバートとザ・白人のスウェーデン人マティアスと同じ家になったんですね。するとロバートが、「おれたち3人は今日から家族だ」と言うんです。


この言葉が僕の留学の始まりであり、僕の留学の全てです。


ぼくとロバートとマティアスは、朝一緒にご飯を食べて、一緒に学校に登校する。休憩時間を一緒に過ごして、ランチも一緒に食べる。学校が終われば一緒に家に帰って、一緒に夕飯を作って食べる。夜は一緒に飲みにいくか、パーティーに行って、一緒に家に帰って来て寝る。


気になる女の子の話から、今までの自分達の歴史、自分たちの国の文化、様々な事象に関する意見、なんでも、これ以上話すことないんじゃないかというくらいほんとに何でも話しました。


すると類は友を呼ぶとはこういうことなんでしょうか、僕たちの周りにまた素晴らしい友達が集まってくるんです。最終的に20人くらいだったんですけど、このグループは留学が終わるまでずっと一緒に何でもしました。


授業も大体一緒に授業を取って、一緒にグループワークをして、一緒に死にものぐるいて勉強して、一緒に色んな国を旅行して、一緒に誕生日会とかクリスマスパーティーなんかも開きました。


みんなに出会えば、みんなNaoki, Naoki,ってとびっきりの笑顔をくれる。何かあれば僕はみんなの元に帰ればいい。だから何でも挑戦できたし、傷つくことも、恥をかくこともできたし、ほんとにいっぱい喜んで、ほんとにいっぱい幸せを感じることができました。ぼくが留学中に色んなことに挑戦して、いろんなことを経験できたのはひとえにみんなのおかげです。


僕はみんなからほんとに色んなものをもらいました。
留学当初は僕の英語はすごい下手くそだったのに、そんなことを気にせずみんなは僕と仲良くしてくれて、ましてや英語を色々教えてくれたりもしました。
帰国間近になると、「naoki英語上手くなったね」なんて言ってくれました。
ヨーロッパの常識なんか全然知らなかった僕に「ヨーロッパではこうするんだぜ」って色んなルールを教えてくれました。
何より、僕はただ1人の日本人でアジア人であるってことを何も気にせず、彼等にとって初めての日本人の友人として僕を受け入れてくれました。


ぼくはこんなにもみんなに色んな物をもらった幸せ者でした。
こんなに幸せになっていいんでしょうか?神様がいればそう質問したかもしれません。
でも、留学が終わるにつれてその幸せに対して、ある疑問がぼくの心の中ですごく大きくなっていきました。


「ぼくはみんなに何かしてあげられたんだろうか?」


するとみんなは愛情いっぱいに答えてくれるんです。
「当たり前じゃないか。お前はおれの親友で、お前がおれの留学を作ってくれたんだ。本当に色んなことをお前から教わったよ。何よりお前がおれのアジア人のイメージを変えてくれたんだ。だからそんなこと聞くなよ。」


ぼくは涙をこらえきれませんでした。


なんて幸せなんだろうか。
大好きな人から一杯影響を与えてもらって、その上大好きな人に影響を与えられるなんて。
本当に当たり前のことなんだけど、その当たり前のことがいかに幸せなことかに気付かされました。


この留学で学んだことはハードなことからソフトなことまで正直一杯あります。ありすぎるくらいです。でも、一番の収穫は本当にこの単純なことなんです。


ぼくには大好きな友達が必要で、僕は彼等にぼくの人生に入り込んで来てほしいし、ぼくも彼等の大切な人生の大切な一部になれたら本当に幸せなんだっていうこと。




だから、帰国後最初のブログは、難しいことは抜きにして、みんなへの感謝で締めくくりたいと思います。




みんながぼくの留学を作ってくれました。ぼくは本当に幸せでした。


みんな、ありがとう


Naoki






2011/02/06

魔法の国モロッコ(9) 最終章 始まりと終わりの街 カサブランカ

魔法の国モロッコシリーズ


メクネスからカサブランカへ向かうため、朝はやくメクネスの駅へと向かう。
メクネス駅につくと、カサブランカへ向かう電車の数が異様に少ないことに気付く。
そして目の前にいた女子大生らしき2人にその訳を聞いてみる。
すると、メクネスにはもう一つ大きい駅があるらしく、カサブランカに行くならばそっちの駅に行く方がいいという。


そっちの駅に行こうとすると、彼女達は会話を続ける。
ベルギーに留学してること、彼女達もベルギーに来たことがあって、来年からフランスの大学院に行くこと、など色々と話した。
たしかに彼女達は所謂アラブ女性の格好をしておらず、ヨーロッパ人と外見は変わらない。
スペイン人だと言われてもそうかと納得したであろう。
アラブな格好をした女性が大半を占めるこの国からすれば、彼女達はかなり都会風で、ぼくはこれから彼女達をメクネスの女神と呼ぶことにする。


そしてこのメクネスの女神は続けてこう言った。
「カサブランカなら車で送ってってあげるよ。私たちは今からカサの途中にあるラバトに行くんだけど、友達はカサまで行くから乗っていきなよ」


女神!
実はこれがぼくが彼女達を女神と呼ぶ真の理由である。


ぼくはお言葉に甘えまくって、車に乗り込んだ。
ぼくはなんて運がよくて、幸せな人間だろうか。
あーモロッコ旅行は楽しかった。
終わりよければ全てよしとはまさにこのことを言うんだろう。
こんなことを考えながら、僕は終わりの街カサブランカに着いた。
この旅の劇的な幕切れなど予想だにせずに。


魔法の国モロッコ 最終章 はじまりと終わりの街カサブランカ


無事カサブランカに着いたぼくは、以前泊まったホステルへ向かう。
「お、帰って来たか日本人」
オーナーはぼくのことを覚えていてくれていた。
明日の朝5時のフライトであることを告げると、今日は宿泊せずに空港で泊まるのがいいだろうという。
夜9時頃にホステルを出て、電車に乗って空港に向かうことにする。
それまで約10間とたっぷりある。
せっかくだしビーチでもいこう。


近くにあるというビーチへ向かっていると、「ビーチはそっちじゃないぜ、おれがビーチまで連れってやるよ。おれも今からビーチに行くんだ。」少し日本語が話せる男がそう話し掛けて来た。
男は続けてこういう。
「旅行者なんかいない、現地人だけが使うビーチまで行こう。そして魚を買ってバーベキューでもしよう。そのあとはハマム(モロッコ式のサウナ)で汗を流す。最高だろ」


うん、最高。
ただね、見た感じ怪しい。
話し掛けて来たのは右のやつのこと。
名前は忘れた。アラブっぽいからムハンマドとでも呼んでおこう。
左は彼の友達で寡黙。
あーおれは運がいい。
なんて運がいいんだ。
そしてバスで揺られること30分。
南国な街に来る。
ムハンマドの家





基本的に楽しかった。
でも、常にひっかかるものが頭の中にあった。
まず、具材からバーベキューにかかるものまで全てこみで800デュラハム(8000円)であるという。そして1人あたり260デュラハム(2600円)を払えという。
おかしい。
物価が3分の1程の国でこの価格はおかしい。
ムハンマドの友達は平然と260デュラハムをムハンマドに払う。
迷う。
私を騙して金をとろうとしてるのか、それとも本当にそんなにお金がかかってるんだろうか。
ただ、2600円だ。もし彼等が嘘をついていなかったときのことを考えると、それくらいなら払ってもいいだろう。そう決断した。
でもやはり疑いは常に心の中にあって、バーバキューが終わる頃、ぼくは彼に言った。


「もしこのバーベキューに本当に800デュラハムかかっていなくても、僕は君にお金を返せと言わない。だから、本当はいくらかかったのか真実を教えてほしいんだ。」


彼は、完全に戸惑っていた。


「え、っと・・・780デュラハムかかった。おつり欲しいか?渡すよ渡すよ。」


ぼくは切り返す
「そっか。あんまりこういうこと言いたくないけど、言うよ。どう計算しても800デュラムはおかしい。ぼくもばかじゃない。わかるんだ。なんにもしないから真実を言ってくれ。」


すると彼は
「新鮮な魚ってのは高いんだ。うまかっただろ?あれは高いんだ。」


そう繰り返すばかりだ。
やはり騙されたのか。
ぼくはすごく落ち込んだ。
というよりもなんでこいつらを信じてしまったんだろうと、自分のばかさに飽きれた。


そして、バーベキューが終わると、ハマム(モロッコ式サウナ)へ向かう。
疲れていたので、まあ行ってもいいかという思いで彼等と行った。
すると、ムハンマドはちょっとシャンプーをとってくると言って脱衣所に戻る。
しかし10分しても帰って来ない。


「まずい」


最悪のケースが頭をよぎる。
そういえば彼は今日、ぼくがユーロか円を持って来てるかとしきりに聞いて来ていたのを思い出した。


すぐさま脱衣所に向かうと、彼は荷物を預ける所から出て来た。
ぼくはすぐさまリュックを取り出す。
するとリュックが濡れているのがわかる。


「やられた」


ぼくはすぐにリュックを取り出し、財布を確認する。
いつも財布を入れているポケットに財布がない。
もう頭のなかは真っ白だ。
そして後ろのポケットに手をやる。
あった。
すぐさま中身を確認する。
クレジットカード、キャッシュカード、住民票・・・
ある。
しかし、現金がなくなっていた。


「こんなこと言いたくないんだけど、お金返せよ。お前がやったっていうのわかってるんだよ。」
「何のことだよ?俺たち兄弟だろ?そんなことするわけないし、ここにいる奴はみんなそんなことするような奴じゃない。落としたんじゃないか?」


「何とぼけてんだよ。お前がバーベキューでお金だまし取ったのも、ここでおれの金盗んだのもわかってんだよ。警察呼ぶぞ。ここにいるみんなお前がお金盗んでるのみてるんだぞ」


「何のこと言ってるんだ?お前急に人格がかわったぞ。落ち着けよブラザー。」


なぐってやろうかとも思った。
でも冷静になってどういう行動をとるべきか考えた。
おそらくこいつは常習犯で、ここはこいつの地元でここにいる奴らはみんなこいつの友達だ。ここにいるみんなこいつの味方につくだろう。警察を呼んだらおれがフライトに間に合わないかもしれない。
打つ手がなかった。


すると、こいつはおれに空港までの電車代を渡して来た。
「これで空港まで帰れよブラザー。おれたち兄弟だろ。使ってくれ。」
もうおれは怒り心頭だった。
こんな演技が通用すると思ってるのだろうか。
悲しくさえもあった。
しかし、フライトを逃すわけにもいかないし、こいつが非を認めてお金をおれに返すなんて到底思えない。


ぼくはその金をばっと取り、
「2度とこんなことすんなよ。あんまり人をなめんな。最低な人間だよお前。」
とだけ言い、その場を去り、空港へ向かった。


帰り道は、悔しさ、悲しさ、怒り、あらゆる負の感情がぼくに襲いかかった。
それは悪事を働いたあいつに対してでもあるし、いいことが続いていたために簡単に人を信じたぼくのばかな行動に対してでもあるし、こんな根性が腐った人間を作り出した不平等な社会に対してでもあった。
機内では、モロッコでの楽しかった思い出など全くぼくの頭には現れて来ず、ただ、この一件への負の思いばかりが僕の頭の中を占領した。


終わりよければ全てよしとはよく言ったものである。
どれほど楽しい旅行であっても、終わりが悪ければ、全く良くない。
旅行から帰って来て1ヶ月近く経った今でさえモロッコといえばこの1件がまず始めに想起され、不快な気分になる。


こうしてぼくはこの1件について、お金に狂った人間について、人を狂わすお金について、人を狂わす不平等について、ぐるぐると思いを巡らし、モロッコを発ち、ベルギーに入国した。


するとベルギーという国は正義や幸せ、物に溢れた温かい国として僕の目に映った。
家では、Naoki, Naoki,と同居人たちがぼくにとびっきりのハグをくれる。


あぁ、温かい。
なんて温かいんだ。
そこは楽園であり、ぼくの傷をゆっくりと、ゆっくりと癒してくれた。
ぼくが経験したつらかったことを語ると「はっはっは!モロッコ人なんてそんなもんだよ!誰も信じるなって言っただろ?はっはっは!」といつもの笑顔で笑い飛ばしてくれた。
そしていつものようにたわいもない会話をしてくれる。
ぼくはその幸せな時間に徐々に徐々に順応した。
するとモロッコがここではないどこか別世界にあって、何か魔法にかけられてモロッコにいた夢でも見させられていたのだろうかというような気分になった。


そうして安心すると疲れがどっと出て、僕はベッドに飛び込んだ。
僕のベッドはどんなベッドよりもやわらかく、ぼくを温かく包み込んでくれた。


ぼくは、今の環境がいかに幸せに満ちていて、温かいものであるのかを気付かされた。
今回の旅はそんな旅だった。
ぼくは、熟睡した。赤ん坊が母親に抱きかかえられて幸せに寝ているかのように、魔法にでもかけられたかのように、幸せに囲まれて熟睡した。


ぼくが行った国はそう、魔法の国モロッコ






魔法の国モロッコ 終わり













魔法の国モロッコ(8) 旅行者な街フェズとローカルな街メクネス

魔法の国モロッコシリーズ


さて、メルズーガで幸せを満喫したぼくは、夜行バスでフェズを目指す。
メルズーガからフェズへのバスは7時発のバス(記憶あいまい。たしか7時)しかない。
隣に誰もいなかったので、横になって寝ているといつの間にかフェズに着く。
朝5時だ。
とりあえずタクシーでメディナまでいく。
なぜか安いし、優しい。
朝早いからだろうか。よくわからん。


メディナに着くとなんか変な杖とスポンジを持ったおっさんが「宿か?来い」という。


・・・スポンジ


・・・怪しい


いや、今のおれは運気が向いている。
それに、ついて行くならタダだ。
何件か宿を紹介されるが、少し高い。
5件ほど回ったが、すべて断った。
「もう自分で探すよ、ありがとう」
そう言って去ろうとすると、スポンジおじさんは最後のチャンスをくれという。
スポンジを何度も握り直しながら言う。
必死だからついて行ってみると、ほんとにとっておきのを出して来た。


とっておきだ。
外見はただの家。
ただの家の窓を叩くと、なんか変なおばあさんが出て来た。
でもこのおばあさん、なんか変だ。
いや、変だ。絶対変だ・・・
そしてぼくはその変な感じの正体を見つける。
そのおばあさんの唇の上には黒くふさふさしたものがあるのだ。
いや、そんなはずはない。
目をこすり、もう一度そのおばあさんの顔を見つめる。
うん、あるわ。
ひげだわ。
絶対あれひげだわ。


ぼくはそのおばあさんの醸し出す威圧感に屈し、その宿に宿泊した。
しかもスポンジおじさんはぼくにお金を要求せず、満足げに帰っていった。
スポンジおじさんにひげばあさん。
なんだかわけがわからん。


お昼になると、ぼくはひげばあさんに別れを告げ、フェズの街を少し歩く。
フェズといえばモロッコで訪れるべき街の一つで、マラケシュとフェズに行ってこそモロッコに行ったと言える。



豆スープと魚。なかなかの安さ。


モロッコ、フェズと言えばミントティー。


バスで出会ったオーストラリア人一家。





旅行者の街だけあって、なかなか綺麗だったりする。
しかし、そんな街はぼくには何のアピールもしてこなかった。
そう、ぼくはもう観光地には飽き飽きしていたのだ。
だからぼくは3時間程ほっつき歩いて回り、次の街メクネスへの電車に飛び乗った。


メクネスには1、2時間程で着いた。7時ぐらいに着いたのだろうか、あたりは暗かった。
タクシーを使い、lonley planetに乗っていた安宿へ向かう。
少しお腹が空いたので街を歩いてみるのだが、とにかく人が少ない。そして客引きも少ない。
「これだよこれ。こういうローカルな街を旅したいんだよ。」
ぼくは屋台で若い男の子の前に座り、サンドイッチを食べた。6デュラハム(60円)。
安い。ローカル価格だ。


サンドイッチにはこんなのが入ってる。




僕の前に座る男の子は学生らしく、いろいろ話した。すると街を案内したいと言い出し、1時間程色んな話をしながら街を歩いた。
別れ際もお金を要求してくるわけでもなく、純粋にいいやつだった。
これだからローカルはいい。
モロッコの旅をあと1日だけ残した時点で、ぼくは自分の旅のスタイルを認識した。
といっても遅すぎるのだが。


明日はとうとう終わりの街カサブランカへ帰り、帰国である。





2011/02/05

魔法の国モロッコ(7) スナスナの街メルズーガ part2

魔法の国モロッコシリーズ
魔法の国モロッコ(1) はじまりとおわりの街カサブランカ
魔法の国モロッコ(2) なにかが起こる街、マラケシュ
魔法の国モロッコ(3) なにかが起こる街マラケシュ part2
魔法の国モロッコ(4) なにかが起こる街、マラケシュ part3
魔法の国モロッコ(5) なにかが起こる街、マラケシュ part4
魔法の国モロッコ(6) スナスナの街メルズーガ
魔法の国モロッコ(7) スナスナの街メルズーガ part2
魔法の国モロッコ(8) 旅行者な街フェズとローカルな街メクネス
魔法の国モロッコ(9) 最終章 始まりと終わりの街 カサブランカ
番外編 モロッコの砂漠旅行情報!マラケシュ、フェズからメルズーカへ!のりこさんの日本人宿もあり!



ぼくは、メルズーガの街に着き、暗闇の中、宿で睡眠をとった。
そして夜が明ける。


真っ先に砂漠を見に行ってみる。
ぼくは軽い気持ちでふらふらっと見に行ってしまった。
砂漠を見た瞬間時間が止まる。
息をのむとはこういうことだろう。
紅い朝日に照らされ、紅く妖しく輝く砂漠。
朝日のその角度の低さからできる陰がさらに砂漠の紅さを際立てる。


美しい。


もはやただそう表現するしかできなかった。


だんだんと明るくなってくると、その砂漠を前に朝食をとった。


朝食後は、噂の日本人、のりこさんに会うべく、自転車で隣町まで。


みんな近い近いというから自転車で爆走してみたのだが、街が全く見えない。
というか出発したメルズーガさえ見えない。


・・・怖い


普通に怖い
砂漠で1人。
持ち物はノートだけ。
なんで水もってこなかったんだ。
良い歳しながらびびってしまった。


すると、小さな子供が見えて来たので、彼等に道を聞くと、着いて来てくれた。
小さな子供に助けられてものすごく安心するという、なんとも無様な23歳である。


そうして、Hassi Labiedという街に着き、のりこさんを訪ねた。
http://www.wilderness-lodge.net/
すると、のりこさんはなんだか暗いのである。
聞いてみると、昨日のりこさんが組んだらくだツアーの到着時刻が遅れ、ツアー参加者が次の街へ向かうバスに乗れなかったため、苦情殺到。夜から朝までもめにもめ、結局宿泊費、ツアー費をタダにして、宿泊客はみんな別のホステルに移ったのだという。


のりこさんはかなりきつい言い方をされたようで、悲しそうだった。
正直モロッコとか、先進国以外で何かをするってなったら、時間が遅れるのは日常茶飯事だし、そんなことで怒ってたらこっちの身がもたない。
先進国以外の国に来るならばそれぐらいの認識をもってこないときっとうまくいかない。
ずっとイライラしてなくちゃいけない。
だから、ぼくは先進国以外に来るときは常に、「まー仕方ない」というスタンスをとるか、基本的にタフなスケジュールは組まないようにしてる。
これを「時間に遅れるなんて怠惰だ、改めるべきだ」ととるか、「これも彼等の文化だ。仕方ない」ととるかはそれぞれの判断である。


さて、のりこさんと別れたあとは、バスで会ったイズマイルの家を訪ねた。
彼ととった写真を母親に見せると、にっこりと笑って、家の中に招かれ、お茶とお菓子をいただいた。


イズマイルの話をやたらされたんだけど、現地語だったので、全く理解できず、ひたすら作り笑顔で乗り切った。


村から戻ると、約20人とともにらくだツアーに参加した。350デュラハム(3500円)くらいだったと思う。夕方4時に出発、30分から1時間ほど暗闇の中ガイドがぼくの乗るらくだを引っ張る。全然歩けるんじゃん。と心の中でツッコみながら、他のツアー客と話していると、いつの間にかテントに到着する。



夕食をとり、現地人が奏でる音楽と共に踊る。
その後満天の星を見て、就寝、6時頃に起床し、朝日を見ながら宿に帰る、というもの。











ただ、注意してほしいのは、夜死ぬ程寒いから、絶対コートとか必要。毛布はあるんだけど、それでもテントなのでまじで寒すぎて寝れませんでした。


らくだツアーでは、いつものように友達をつくり、綺麗な星を見たんだけど、まー流れ作業というか。
「とりあえずエッフェル塔みましたー」「とりあえず東京タワー見ましたー」とそんなに変わりはなく、「とりあえずらくだツアーこなしましたー」という感じだった。
どちらかと言うと、久しぶりにシンガポール人とかカナダ人と英語でしゃべれて、そっちの方が楽しかった。
だって、らくだ乗ったことあるし、田舎出身だから星なんかなんぼでも見れるんだもん


それでもなんであんまり感動しなかったのだろう、他の理由があるはずだ、と考えてみると、簡単な答えに行き着く。
太陽だ。
そうだった、ぼくは太陽が好きなんだった。


だかららくだツアーから朝帰って来て、立て続けにその昼にらくだに乗った。
太陽に照らされ、オアシスを目指した。


お値段400デュラハム(4000円)。
これはほんとに気持ちがよかった。
ただ、これはほんとに価値があった。
もしらくだツアーにするなら、2泊3日で遠くまでいくか、朝に出発して夕方に帰って来る
のを勧める。

見渡す限り砂漠。
「これだよ、これ」
そう心の中で叫びながら太陽を一身に浴び、オアシスを目指した。
この、オアシスを目指すってのがかっこいい。
そしてin the middle of nowhereな状況もかっこいい。
物語の主人公にでもなったような気分だった。





何もなかったはずのところに急にオアシスが出て来る様は、魔法のようだった。






オアシスで日光浴





この砂漠の街っていうのは、本当にonepieceに出て来る、アルバーナとかウイスキーピークみたいで、とにかく好きだった。


あと、オアシスで食べたタジンは最高だった。




でもそんなことよりも、もっと好きだったのが、ぼくの宿だった。
宿には、かわいくて優しい女の子が1人、あとおばさんとその夫、もう1人若い男の子が働いていた。
そんな宿に泊まっていたのは、ぼくと台湾人の女の子の2人だけ。
だから、ほんと家族みたいで、あったかかった。
マラケシュで出会った、ぼくを金としか見てない様な連中とは違う。
そしてマラケシュの様な喧噪もない。
宿に帰れば優しい人たちがぼくを迎えてくれて、宿を出るときは見送ってくれる。
暇になれば彼等とゆっくりと話し、夜になればお休み、とそれぞれの布団に入る。
そこでは、ただゆっくりと時間が流れる。
疑似家族のような関係はすごく心地がよくて、幸せだった。


だからメルズーガを発つときは少し寂しく、みんなも少し寂しそうだった。
いつかあの街に帰ってみたい。
その頃になっても変わらないあのままの姿であってほしい。


そんな感慨に浸りながら、次の街フェズへ向かう夜行バスに乗り込んだ。


そのバスの中でかわいいオーストラリア人姉妹と親しくなり、しばらく話していた。さっきまでの感慨はどこへやらという感じで、ぼくの気分はウキウキだった。
男の悲しき性である。


こうして砂漠の街メルズーカでの幸せな日々を終え、次の街フェズへと向かう。